今日から魔王はじめます!
あわわわ。どうすればいいの?


今この状況って、あれだよね? ゲームだったら、魔王VS勇者の最終局面ってことでしょ?


場所は監獄で、どちらも情けなくここにいるのではあるが。



「……君は…?」



勇者(仮)が私を捉えて、訝しげに眉を寄せた。


緊張と恐怖で、動悸は収まらない。心臓が口から飛び出そうだ。



「黒の瞳……?」



「!!」



しまった!


色つき眼鏡を落としていたことをすっかり失念していた。


しかもスマホがいらない働きをして、私の顔を照らし出している。


スマホに黒い瞳に、最悪だ!!



「ちち、違うの!!私、看守にここに入れられて!


間違って獣王領に入っちゃって、囚われてここに来ただけなの!


けけ、決して魔族とかそんなんじゃ……」



ああああ、自分で墓穴を掘ってどうするんだ。


しかし勇者(仮)はスマホに目を移したまま動かない。


そして呟いた。
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