今日から魔王はじめます!
「それで?魔王である愛美サマはどうしてこんな監獄に?」


「……ねえ王子サマ、その言葉が皮肉にしか聞こえないんだけど、どうすればいいんだろう」


「気のせいじゃないか」



ちくしょー、いけしゃあしゃあと……。


どうせ私はお間抜けな新前魔王ですよ……。



「私は、戦争を止めに来たくて……」


「………戦争を?」



「その為には、この目でスレイブヤードを見なくちゃいけないと思ったの」



働かされ、こき使われる人間たちの捕虜。


それは、きっと悲しくおぞましい。


けれど、私が戦争を止めるならば、それも見届けなくてはいけない。


でないと、私の全ての考えは綺麗事で済まされてしまう。



「レン。私はまだ、昨日アシュタロトに来たばかりで、次期魔王になる覚悟が決まってない。


でもね、これだけは言える。


これ以上、戦争の犠牲を出したくない…!


過去の確執を知らない私じゃ、終戦には無理があるかもしれない。



でも、休戦…いや、停戦協定の締結なら…私にでもできるかもしれない!



…力を貸してくれませんか?」
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