今日から魔王はじめます!
「とりあえず、レン!早くここから脱出しないと」


「上手くいく脱獄方法に心当たりが? 魔王サマ」


「やめて!なんか脱獄とか言うと犯罪臭が増すから!」



絶対わざと言ってるよね、と頬を膨らませながら私は考える。


とりあえず、手錠を初めて外さないことには何も出来ないか…。


何か鍵を外せるものはないかな、と私はカバンを漁り始める。



「ヘアピンとかはあるか?愛美」


「え? …ううん、ごめん…つけてない」


「ならかつらを留めるピンを1つ外せばいい」



な、なるほど。その手があったか。


私はかつらを留める用のピンを外すと、手に持った。


で、でもこれで開けられるかな…?ここ暗いし。



「鍵穴はここだ。スマホのライトをつけて、ここを照らせばわかる」


「う、うん」



スマホを片手に、レンを戒めている手錠の鍵穴にピンを差し込む。


しばらくでたらめに動かしていると、やがてカチャッ、と音がして錠が開いた。


良かった!複雑な錠じゃなかったみたい。


文明があまり進んでなくて、助かった。



「レン!」



そう言うと私は、レンの手を取った。
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