今日から魔王はじめます!
しかし、その刹那。


バチィッッ!!と。


蒼い電光が生まれ、レンに触れた手に激痛が走る。



「いったぁぁ…」



赤くなった自分の手を見て、私は呟いた。


ああ、この火傷、この世界に来てから2回目だ。



「ったく…魔力と聖力は反発するって、“智の王”に習わなかったのかよ?」


「うぅ…習いましたぁ…」


「……ほら、手、貸してみろ」



恐る恐る手を差し出すと、ぼんやりとした白い光が私達の手を包み、みるみるうちに傷を治していった。


これが、聖力の治療…!


すごい、レンの治療、ランスさんのとほとんど変わらないくらいにクオリティが高いよ!



「ま、“智の王”に出来たなら、愛美もすぐできるだろ。なんてったって次期魔王サマだしな」


「…勇者には言われたくないよ」


「そりゃそうだな。…さて」



楽しそうな笑顔を引っ込め、レンが声を低くした。



「そろそろここを出なきゃな」
< 129 / 383 >

この作品をシェア

pagetop