今日から魔王はじめます!
「…あ、カバン…」



とりあえず立ち上がって、制服についた草を払い落とす。


そばに、さっきまで持っていたカバンが放り出してあることに気づいた。


美咲先輩と遊びに出掛けた時のカバンまで夢に出てくるのか。



白いカバンの持ち手を手に取ると、剣道部でお揃いで買ったラバー製の竹刀ストラップが揺れた。


…それを見て、思わず私は唇を噛んだ。




そうか。死んだら、もう美咲先輩にも、他の先輩達にも、中等部の後輩達にも、会えないんだ。


ここが夢であろうとなかろうと、両親や友達、部活の皆に会えないのなら、


どうせ孤独…話は同じである。



カバンを開けると、スマホがあった。他には、ティッシュや財布、メモ帳やペン。


スマホを開いて見てみる。


もちろんLINEなどは来ておらず、圏外だった。
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