今日から魔王はじめます!
「とりあえず、これからいちいち火傷してたら困るよな」



鍵を外す前に、レンは私を見て言った。


そしてカバンの中身を整理し終わった私の首に、白い星のペンダントをかける。


星と、白金は王族の証。



「これ、もしかして」


「俺の聖力が込められた、魔封じ。


一応俺も勇者だから、普通の魔物なら祓われたり、魔族なら力を失って倒れるくらいは強力だよ。


でも魔王のお前の力は、弱めるだけだな。


これできっと直に触れても大丈夫なはず……体調に変化は?」


「ううん、ない。大丈夫」



差し出された手を、恐る恐る掴む。


けれどいくら待っても火花の散る反発はなく、私は心から安堵した。



レンは少し微笑むと、鍵に手を翳した。


そして、口の中で何かを呟いて___恐らく呪文だろう___、



カチャッ、と音がして。


牢の錠が、開いた。
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