今日から魔王はじめます!
「…面倒だな。看守長の見回りだ。


俺達の牢の錠が開いてることがわかれば、やばいことになる」


「ええっ! まさか看守長って…あの竜人達の中で1番強いヒト…?」


「まぁな。 …くそ、剣さえあれば…」



軽く舌打ちし、レンはシルエットの死角になる壁際…狭い道に身を寄せた。


私は何も出来ないまま、レンに引っ付いているだけ。


情けないけど、私も剣がないと…竹刀がないとだめだ。何かに立ち向かえる勇気が持てない。



看守長が蝋燭を持ってこちらへ近づいてくる。


コツコツと響く靴音に、息をひそめながらじっと通り過ぎるのを待つ。


そして、明かりとともに看守長が、角を右折したその瞬間。



「走れ!!」



レンが小さく叫んだ。


反射的に狭い壁際から通路へ飛び出す。


直後、看守長らしき男が「何故いない!?」と声を上げる。



やばい!やっぱり早速バレた!


そう言えば、右折したすぐそこに牢があったんだった!
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