今日から魔王はじめます!
「愛美、先へ!」


「う、うんっ」



私はスマホの電源を入れ、足元を照らしながら階段を駆け上る。


レンは私の後をついてきてくれているらしい。


なんだろう、魔王が勇者に庇われてるって、なんか悔しい。


まあ、同じ元日本人なんだけど……。確かに私は今でも日本人のつもりでいるけど……。



「いたぞ!!追え!」


「わぁあ!!?」


「くそっ、やっぱり階段を上る音は響くな……!!」



レンの舌打ちとともに、「逃がすな!」という怒声が耳に届き、


轟!と風を切る音が。



「うわあ!!」



熱波にさらされ、転がるようにして地下2階に上がる。


今のはまさか……さっきの、ドラゴンブレスみたいなもの!?


あわてて体を起こすと、一緒に転がったレンに駆け寄る。



「レン!大丈夫!?」


「ああ、ごめん…少し受け身を取り損ねただけだ」



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