今日から魔王はじめます!
と、言おうとレンを見た私の耳に届いたのは、息を切らす彼の喘ぎ。



「っ、魔族の土地で法術を使うのはやっぱり…疲れるな」


「レン!大丈夫なの!?」



もう、どうしてそんな息切れするほどの力を使ったの!


と思ったけど、すぐに気づく。


何も出来ない私を守るためだ、と。


白い光に阻まれて、青い焔は届いてないけど、さっきから光は弱まってるのはわかる。



このままじゃ…。



「捕らえろ!!」


「「「ハッ!!」」」



唐突に響いた看守長らしき声に、いくつもの声が応える。


今度は私が、この人を守るんだ!



お願い、始祖様。


私を魔王として認めてくれるならもう一度だけ、



黒い炎を私の手に!



「うわぁぁぁ!?なんだ!?熱いぃッッ」



轟!!という何かが激しく燃え上がる音。


しかし、燃え上がったはずのそれはどこにも見えない。


視認出来ないということは、それは闇と同化しているということ…つまり、黒い炎!



私…やれたんだ!



「レン!今のうちに!」


「わかった!」
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