今日から魔王はじめます!
黒い炎が地下2階の通路を塞いでくれているうちに、私達は奥へと走り出す。


地上への階段は通路を進んだところにあるようだ。


私は走りながら、黒い炎があまり燃え広がらないように、と念じる。


技(魔術?)が使える看守や獄卒…竜人達と違って、ここの捕虜は人間だ。


囚われていて、戦闘力もないのに、火が燃え広がれば大惨事になってしまう。それこそ戦争の引き金になるだろう。



「黒い炎、ちゃんと使えるじゃねぇか!」


「うん!ちょっと自分でも嬉しい」


「よし!このまま行くぞっ」



レンがそう言った瞬間足元がつるんと滑った。


あわてて体勢を整えるが、靴の裏で擦ってみるけど、やはり地面は何故かいきなり滑るようになっている。


なんでー!!?



「氷狼(フェンリル)だ! 多分“獣の王”の眷属のッ」


「げぇぇぇ!!? アルフレッドさんに見つかったら魔王城に連れ戻されちゃう!!」


「そのカエルの潰れたような悲鳴やめろ!


俺なんか捕まったら死ぬわ!!」


「失礼な! 女子の黄色い悲鳴をカエルなんてそんなっ」



ヒュゴォォ!!


私の言葉を遮ったのは、氷の礫や雪が混じった頬を叩く冷気。


さ…っ、さっむ!!
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