今日から魔王はじめます!
そう。それが何よりおかしいのだ。


神聖文字の石碑を記したのは、人間王の始祖のはずだ。


魔族と敵対する人間の王である者が、どうして魔剣ディアボロスの扱い方を書いているの?



魔族の王に捧げる、って書いてあるけど、魔族の王が神聖文字なんて読めるはずがない。


初代魔王陛下と、人間王の始祖の考えてることが、全くもって理解できない。



「…始祖の時代に起こったことで、考えられるパターンは2つある」


「レン…?」



レンが眉間を指でつまみながら指を1歩立てる。


そして言った。



「1つは、聖王陛下が魔剣の力の使い方を情報として仕入れ、ここに記した場合。スパイかなんかを使ってな。


俺の知る歴史と1番合致するのはこれだけど、それではなぜ石碑にそれを記したのかが説明できない。


それも、『魔王に捧げる』という体で」


「…確かに」



私は頷く。聖王、というのは恐らく人間王の始祖のことだろう。


レンはそれを見ると、もう1本指を伸ばした。



「もう1つは、なんらかの理由があって、初代魔王が聖王陛下に魔剣の情報を託した場合だ」
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