今日から魔王はじめます!
そんなバカな。大砲ならともかく、矢でこんな岩が割れるなんて聞いたこともない。


そもそも、どうして弓矢で私が射られなくちゃならないのだ。


それに、私のいた場所が少しでもずれていたら、あの矢は私に直撃していたのではないだろうか。



ざわり、と恐怖で背中の毛が逆立つ。


予期せぬ死と、予期できる死。


どちらが怖いかなど、答えは明白だろう。



「いったい、誰が…」



弓手をどうにかしなければ恐怖が続くと思った私は、身を低くしながら矢が飛んできた方向へ足を進めた。


ここは夢だ。だから、私も勇気が持てるはず。



長い草をかきわけ、響く轟音と矢を恐れ、首をすくめながら私は進む。


そして、草の中で見つけたのは、



「え…外国人?」



鉄製の弓と空っぽの矢入れを持ち、倒れている金髪碧眼の青年だった。


頭から少量の血を流しながら、「うう…」とうめいている。


間違いない。彼が私を矢で射ようとした人間だ。


ところどころの火傷は、さっきの火事で負ったものだろうか。


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