今日から魔王はじめます!

私が眉を寄せていると、壁の向こう側から看守たちの声が。


『ここらで声が聞こえたぞ!』とかなんとか言っているのが聞こえる。


うわぉ。これはやばいな。



「法術典項の三、“光盾”」



再びレンの聖力で、私たちの体を光が包んだ。


ここから出るときのための、バリアの代わりみたいなものか。



「愛美、準備はいいか。どんでん返しから出たら、すぐに走れ。


通路の入り口を塞がれてても、とにかく全力で走れ。蹴散らしていけ」


「わ、わかった」


「通路の入り口に槍とかを突き出されてたら……まあ、諦めろ」


「いや、そこは止まるからね!?猪じゃないんだから、」


「行くぞ!」


「おい!!」



話聞けこのバカ王子ッ!


と心で悪態をつきながら、どんでん返しから飛び出す。


幸い、狭い通路の入り口は塞がれておらず、私達は暗いが広い通路に出ることが出来た。
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