今日から魔王はじめます!
*東大島の冒険
「……まさか、不死鳥が召喚できるなんてな…」
不死鳥の背中にしがみついているレンは、苦い顔のまま下を見下ろしている。
若干顔色がよくない所を見ると、高所恐怖症なのだろうか。
男なのに、だらしな……うぷ。人の事言えない。
だって怖いんだもん、不死鳥の背中。速いから落ちそうで。
『私も驚いています。魔王と勇者がまさか行動を共にしていたとは』
「「うっ」」
『双方、互いの忠臣にこのことが知られたら、大変なことになるでしょうね』
「「ううっ」」
そろって魔物に窘められる勇者と魔王ってどうよ。
自分で自分に呆れつつ、私はかつらを直す。
『良いですか、陛下。これも私は中立区域の少し前までしか行きません』
「うん、ありがとう……ってちょっと待った。
私、不死鳥に文句を言いたいことがあったんだった」
『と、言いますと?』
「あなたが降ろしてくれたあの町、もうアルフレッドさんの領地になってたよ!
私、それで捕まっちゃったんだからー!」