今日から魔王はじめます!
森の中に私たちを降ろし、彼方へ飛んで行った不死鳥にお礼を言うと、


私たちは中立区域の街へ進み始めた。


森はそう規模の大きくないものらしく、ここまでも人々の声が届く。



「ああー……やっと宿で休めるぅ……ほんとに疲れたよね、レン」


「俺なんか1カ月以上牢屋暮らしだぞ。やっとベッドで休めるー……」



緩みきったレンの顔を見て、思わず吹き出す。



「あは、レン、顔間抜け」


「うるさい」



少し照れたように言い返してくるレンに、私の顔もほころぶ。


そりゃ、疲れるよね。ずっと暗い牢に一人でにいただなんて、考えるだけでもぞっとする。


私だったら泣いてばかりだ。きっと。



「愛美。森の出口だ」



レンが、広い獣道が途切れ、光が漏れているところを指さして言った。
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