今日から魔王はじめます!
「うわぁ……!」



森から出たところは、異国情緒あふれる市場。


シャドウィングの街並みを中世ヨーロッパ風と喩えるならば、


この市場は少しアジアっぽい。



「とりあえず、ボタンは2つで1万R(リル)で売れた」


「1万リル?それ、日本円にしたら何円くらい?」


「1Rが3円くらいだからな……3万くらいだよ。宿代には十分だな」



3万円!


さぞ上等な水晶だったんだろうなあ。


そりゃそうか、王子様の服についてるクリスタルだもんね。


私の持ってるローズクォーツのブレスレットとか、1000円くらいしかしないし。



「あ、そうそう。宿で夕飯食べる前に、買い物していいか?」


「いいけど、何買うの?」


「お前と同じ、フーデッドケープ。この髪じゃ目立ってしょうがない」



そう言うと、レンは自分のプラチナブロンドの前髪を、苦い顔でつまんで見せた。
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