今日から魔王はじめます!
「大丈夫、確かに今日は空き部屋があるよ。予約無しで平気だ」


「そりゃ良かった」



そして、夕食と朝食付きの宿を見つけた私達は、そこに宿泊することに決定。


宿のご主人は人間で、素朴な木造の宿だ。


食事のメニューも美味しそうだし、単純な私は緊張などすぐに忘れて、わくわくしてきて、



「可愛いお嬢ちゃんと、凄まじく男前な坊ちゃんだねぇ。


若い夫婦のようだが、部屋はどんなにするんだい?」


「「夫婦じゃないです」」



ご主人、私達はそんな色気のある関係じゃないんです。


敵対する国の国主になる人なんです。


魔王と勇者なんです。ゲームだったらラスボスと主人公なんです!!



「夫婦じゃないので、シングル2つ」


「ダブルは空いてるが、シングルは2つ空いてない」


「……ツインは?」


苦し紛れに放ったセリフに、ご主人は答える。



「ツインはある」



私達は激しく安堵した。

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