今日から魔王はじめます!
「そういや愛美が魔王になったら、どんな二つ名をつけられるんだろうな」



レンがビーフシチューを食べながら言った。


…は?



「二つ名?何それ」


「異名のこと」



知っとるわ。



てか、こんなところで、魔王とか声に出しても良かったのだろうか。


しかも異名って、いい匂いのビーフシチューやレタスのポタージュの前でする話題じゃないような。


すごく場違いな…ような。


…気のせい?



「例えばどんな?12代目はどんなだったの?」


「“黒き堕天の憑物(ブラッキーエンジェー)”」



なんて?



「ごめん、もう1回」


「だから、“黒き堕天の憑物(ブラッキーエンジェー)”」



私は恐怖のあまり腕を押さえて震えた。


ランスさんが言いかけたのはこれだったのか!


イタい。イタすぎて泣きそうだ。



「お前もこんなんになるかも」


「嫌だぁぁぁ!勘弁してぇぇぇ!!私もう高校生だから!中二じゃないから!!


そんなんなら、絶対魔王になんてなりたくないぃぃぃ!!」



やめてくれ。レタスのポタージュの美味しさが吹っ飛んでしまう。
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