今日から魔王はじめます!
「俺たちが…、」


「え?」



カーキ色の軍服から零れ落ちた紙切れが、ひらりと草原に着地する。


外人さんが体を起こしたことでわかった。


この人、後頭部を怪我してたんだ。


額を切ったとかじゃなかったんだ…!



「あ…あなた、大丈夫!?さっきのは冗談だから、早く救急車で」


「俺たち人間がお前らに一体…、何をしたッ、魔族め!!」


「わっ!?」



凄い力で突き飛ばされて、尻餅をつく。


何故か、触れられた肩でじりっ、という音がした。


金髪の外人さんは、爛々と光る目で私を見つめている。


その目にあるのは…憎悪。



「ま…魔族?家族じゃなくて、魔族って言ったの…?」



足下に視線を落とすと、彼が落としたのが写真だと気づく。


彼と同じような金髪の女性と、小さな男の子…。


その写真は、血と泥で汚れていた。
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