今日から魔王はじめます!
そろそろ港なのだろうか。潮のにおいがする。


そんなことを思いながら、私はレンに聞いた。



「ねぇレン、人間も魔物を使役したりできるの?」


「使役?」



聞き返してくるレンに、私は頷く。


街でも、魔物をそばに置いていた人たちを何人か見た。


聖力があるレンのような人間でも、魔族のように、魔物を使役できたりするのだろうか。



「まぁ、できるっちゃできるよ。


魔族とは違って、儀式がやたら面倒だし、使役というより契約だけど」


「儀式があるの?」


「ああ。魔法陣を描いて、呪文を唱えて、血を1滴ずつ、東西南北に垂らして、


それからは集中してその魔物に呼び掛けるんだ。


それでも、何日集中して呼びかけても位や力が強い魔物は、従わない場合もあるから、


人間はあまり契約しようとしない」



ただ、とレンは付け加えた。



「人間は、魔族とも主従契約を結ぶことができる」
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