今日から魔王はじめます!
第三章

*王都到着

…2日間、船で過ごした結果から言えば、私たちの部屋はそれぞれシングルだった。


でないとダメだった。ツインルームは高すぎた。


もっと安くしようとすればダブルになってしまう。それはいかん。



だけど、この船で2日過ごした感想としては、寝心地は最悪だった。



前述の通り、この船は決して豪華客船というわけではない。


事実上最安値であるシングルルーム2つは、やたら狭く、船体が小さい分やたら揺れた。



つまるところ私たちは、2日間ろくに船酔いで寝てないのである。



『聖王都マーキュリー、聖王都マーキュリー』



船内放送がかかり、朝食中だった私たちは、お互いげっそりした顔を見合わせる。


どうやら到着したようだ。



やっと…やっと、あの船酔い地獄から逃れられる……ッ。


睡眠時間が戻ってくる……ッ!



叫びだしたい気分だが、そういうわけにもいかない。


何故ならここは公共の場であり、そもそも私にそんな体力も気力もない。



「降りる準備、するか」


「そうだね…」



そう。


私たちは、本目的の前から疲れ果てていた。


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