今日から魔王はじめます!
それを見た瞬間、一気に肌が粟立った。


今まで夢だと思ってたものが、いきなり現実になってくるような、そんな感覚。


ここは…もしかして、夢ではない?


どこか、地球ではない…世界、なの?



「絶対に…許さん…!勇者さまが…王子殿下が、必ず魔族を滅ぼす!」


「私は…魔族なんかじゃないよ!人間だよっ」


「魔族じゃ…ない、だと…!?バカを言うな!


その闇色の瞳と髪が、凄まじい魔力を保持する証…魔族の覇王の証だろう!


ううっ」


「!! 大丈夫!?」



苦しそうに呻き、彼は再び草の上に倒れてしまった。


闇色の…?黒髪と、黒い目が何かの判断基準になってるってこと?


いや、今はそんなことを考えている場合ではない。


関わってしまった以上、見過ごせない。この人を、どうにかして助けなくては!



そう思い、手を伸ばすと。



「!!」



バチィ!!と。


見えない何かに、阻まれるように火花が散った。
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