今日から魔王はじめます!
レン…それ、めちゃくちゃ自虐ネタ…。


哀れだな、と思いながら私は唇を歪める。


すると、レンはまたさらりと言った。



「教会か王府に情報を渡したくないなら、きっと騎士団のやつらが優勝するのは難しい」


「だろうね。騎士団は王族お抱えだもん」


「でも、俺たちはどうやってもその情報が必要だ」


「うん……ん?」



嫌な予感がして、私は思わずレンの顔を覗き込んでしまった。



「闘技場の試合に出るぞ」



……ちょっと前から思ってたんだけどさ。


この子馬鹿なの?



「ねぇ、あんなにバレたくないって騒いでたのはどこの誰だっけ。


それとも私をまた使って、命をかけさせようっていう魂胆なのかな?


それならそれで、今この場で魔王VS勇者の最終対決演じてもいいんだけど」


「いや、俺も出る」


「やっぱりレンってバカだね」



私もよく美咲先輩に、「頭のネジ緩んでるわよね」と言われたことがあるけど、


レンは最早頭のネジがぶっ飛んでるよね。


私なんかメじゃない変人だよね。


それとも王子ってみんなこうなのかな。



「変人でもバカでもない」



しかし美貌の王子サマは動じない。



「目的のためなら、いくらでも打てる手は打っておく。


念には念を、だ」



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