今日から魔王はじめます!
恐る恐る目を開くと、辺りを覆っていたのは赤い炎ではなく、


黒い、炎だった。


時折パチパチと火花が弾け、私は我に返って男の人を庇うように立つ。



しかし、いくらたっても、黒い炎は私達を襲うことはなかった。


私達を何かから守る為の、要塞のようにそこで燃え続けていた。



今気づいたが、熱波もなかった。


何が起こったのかわからなくて、混乱する。


誰かが私達を守ってくれたの……?



「黒い、炎…か…」



惚けたように男の人は呟く。


その首にかかっていたペンダントの光は徐々に消えていき、遂にはパリンと音を立てて砕けた。



とりあえず今がチャンスだ。



「今のうちだよ!早く逃げて!


ここで手当してる暇はないみたい、どうか仲間を見つけて手当してもらって、生きて!!


この黒い炎は…多分、危なくない。そんな気がする!」
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