今日から魔王はじめます!
あるいはそれは、レンの声だったのかもしれないし、私自身の心の声だったのかもしれない。


けれど私はその言葉をきっかけとして、渾身の力で隊長の剣を私の剣で押した。


一瞬、離れる2人の距離。



刹那の時間に、私は剣の柄を握る手に力を込め、狙う場所を見極める。



向こうから見れば、私の体はゆらりと揺らめいたように見えただろう。



「ハァァっっ!!!」



烈帛の気合を発し、私は剣を、隊長の金属の防具で覆った喉元に、


思いっきり突き出した。


どぉッ、という音がして、私の突きを喰らった隊長の体が、少し舞い上がる。


そして、足が少しリングに引っかかりながら、彼は人工海に落ちた。



沸き起こる歓声。



「ラアッ!!」



今度は向こうの方で気合が発され、人が倒れる音がする。


シャキィン!とレイピアを鞘に仕舞う音。


どうやら決着はついたようだ。
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