今日から魔王はじめます!
ゴォンン!!


ゴングの音に、私は実況席であるバルコニーを見上げる。


実況者のお姉さんは、興奮したようすでマイクを持つと、まくしたてた。



『な、な、なんとぉー!


このバトルロイヤルでは最有力候補だと思われた聖王騎士団を破り、最後に立っていたのはこの2人!


しかも同じチームです!!素晴らしい!!


皆様ご存知の通り、この若い2人は、1回戦でも高得点をマークし、この最終戦に臨んでいます!


文武両道とは、まさにこのこと!!』



いやあれ、米の炊き方だから…。


深い意味なんてまったくもってなかったから…。


文武両道だとしたら、それはレンだけだから。


あえて口には出さないが、心の中でさえ何も言わないままだと、罪悪感にビシビシ響くので、心の中でだけ言う。



『それではこの私が、僭越ながら、教会より預からせていただいていた、


聖剣の地図と歴史を刻む石板を、お渡ししましょう!!』



お姉さんがバルコニーから身を乗り出し、一気に跳躍する。


おおお!とどよめく観客の声の中、お姉さんは見事に私たちのいるリングに着地を決めた。



おい…バルコニー…5mはあるぞ。


このお姉さんが、選手の中で1番強かったんじゃないの…?
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