今日から魔王はじめます!
と、言うと、心外だというような目でレンに睨まれた。



「お前も魔王なんだから、同じようなもんだろ。


魔王城では美味い飯食ってぐっすり寝てるんだろ」


「この船のご飯はまずくないよ。むしろ結構おいしいから別にいいんだけど。


ぐっすり寝てるって言うけどねレン。


よく考えてみて、掛け布団もシーツも敷布団も天蓋も全て真っ黒なベッドを」


「どこの魔界だよ」


「私の寝室だよ。そんなとこでぐっすり眠れると思う?」



まぁ寝ちゃったけどね!ぐっすり!


でもあえて言わない。じゃないとこの質問をした意味がなくなってしまう。



レンが眉間に手でつまむ。


そしてしばらくして、哀しそうな目で私を見た。



「それは…落ち着かなさそうだな…」


「何そのお気の毒に、みたいな目」


「いやぁ…」



レンが曖昧な笑みで目を逸らす。


くそぅお坊ちゃんめ。今に見てろ。
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