今日から魔王はじめます!
「それって、どういうこと?」


私が眉を寄せると、レンは苦虫を噛み潰したような表情のまま答えた。



「…何もしてないのに、レンズにビシビシヒビが入って、ツルも壊れたんだ。


それで眼鏡が落ちて…割れた」


「聖力とかでじゃなくて?」


「違う。聖力は王家の者しか扱えない。


戦時中の今、王家の人間が闘技場の試合見物に来るとは思えないし、


もし聖力や魔力が使われたなら、俺はわかる」


「それなら、本当に偶然で…?」



レンは神妙な顔で頷いた。


嘘でしょ。なにそれ…すごい不気味。しかも、かなり不吉だ。


嫌な予感が募る。これから私は達に不都合な何かが起こってしまう、そんな予感が。



「……正確な根拠のないことで、いちいち悩むのもよくないかもしれないけど…。


やっぱりこういうことがあると、不安になるもんだな」



そう。ここから私達は、戦争を止めるために更に慎重に行動しなくてはならなくなる。


東大島の獣王領にいる魔族達に気取られたら、聖剣は取りに行けなくなってしまうからだ。


何故なら、アルフレッドさんは人間嫌いだから。



「とりあえず朝食を食べよう。話はそれからだ」
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