今日から魔王はじめます!
ここの森は、迷いの森の名の通り、少しでも気を抜けば迷ってしまいそうだ。


地図で行くとまっすぐのはずなのに、不死鳥に降ろしてもらった森よりも、


鬱蒼と生い茂る草木は、嫌な空気を放っている。




「魔力の気配が、濃いな」



レンの呟きに思わず振り向く。戸惑う私に気付かずに彼は続けて言った。



「少し息苦しい」


「……ここが、獣王領だから?」


「それもあると思うけど……気をつけろ。この森には何かがいる」


そして、眉を寄せる。



「魔物には間違いない……ただ、魔族の忠実である、基本的な魔物ではない可能性も否定できない。


だから、次期魔王であるお前に立ち向かってくる魔物がいるかもしれないってことだ」
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