今日から魔王はじめます!
草木をかき分け、思いっきり走る。


さっきから、背の低い植物の葉やら枝やらに、足が傷つけられて痛い。


上げそうになる声を我慢しながら進む。


きっとレンはもっとツラい。魔力の満ちるこの森で、聖力を使った術を使ってるんだから。



私が弱音を吐けるものか。



「愛美!来るぞ!!」



レンの声に私は立ち止まり、バッ、と上空を見上げる。


そこには口を大きく開けて、こちらを睨む疾竜。



ここからじゃ避けきれないと感じた瞬間に、“死”という文字が脳裏を横切った。



…いや!


ここで負けるな。


魔王になるんなら…私はレンと並べるくらい強くならなくちゃいけないんだ!



「黒い炎よ!」



私は叫んで、右手を空に突き出した。
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