今日から魔王はじめます!
背後から、轟!と風を巻き上げる炎が上がる。


その炎の色は、魔王の証である…どこまでも濃い漆黒。



「あの炎を防いで、」



私の声に応えるように、黒い炎が強くなる。


それと同時に、竜のドラゴンブレスが発射される。



向かってくる脅威から逃げてはならない。


そう思いながら、手に力を込めた。



「私達を守れ!!」



目の前の黒い炎が、私達を守るように急速にドーム型に変形する。


命じたことそのままに、蒼い炎を黒い炎が弾く。


レンと私を守るように。



すると上空の疾竜が、その目を細めたような気がした。


そして何を思ったのか、ゆっくりと翼をはためかせ、空の向こうへ飛んでいってしまった。


それを、呆然と私達は眺める。



「…なんだったの…?」



どうして、疾竜は私達を諦めて、去っていってしまったのだろう。


興味がなくなった…?



…ああ、いや。余計なことを考えてる暇はないね。前へ進まなくちゃ。
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