今日から魔王はじめます!
「見えたな。あれが、洞窟の入口だ」



森を抜け、暗く湿っぽそうな、しかし大きくてどこか神秘な洞窟の入口を見つけた時には、


もう既に私達はヘトヘトでボロボロだった。


迷いの森の名の如く、やはり道は入り組んでいて、凶暴な魔物にも何匹か遭遇した。



やはり私は黒い炎を操れなければ、魔王としての威厳は無いに等しいらしく、


無条件に降伏し、忠誠を誓ってくれる魔物なんていなかった。



コノヤローランスさんめ、役に立たない知識を与えおって。



「先に治癒(ヒール)しとくか」


「あっ、それ、ゲームっぽい」


「なんでもかんでもゲームに繋げるのやめろ」



いやぁそういうつもりでは。



「負うものは幻、負わされるも幻。


儚き世のように疵は消える、


法術典項の二十五、“天清(テンセイ)”」
< 264 / 383 >

この作品をシェア

pagetop