今日から魔王はじめます!
「誰なんですか、あなた……!ランスさんは、こんなひどいことしない……!」


「ああ、そこにいたのですか……陛下」


「!」



見たこともないような冷たい目に、聞いたこともないような冷たい声に、


私は思わず後ずさる。


どこまでも赤く美しく残酷な光をたたえるランスさんの目は、暗闇の中で異様な空気を纏っていた。



ランスさんの目って、赤かったっけ……?



恐怖でゆがんだ思考で、必死に記憶を漁る。



「先ほども言いましたが、実に残念だ。


人間と…よりにもよって勇者と行動を共にするなど…、


貴女は影夜国の主に相応しくない」


「なっ……」



信じられない。信じたくない。目の前の人が放った言葉が。


どうして、どうしてこんなことに。



「貴女がまだ、魔王でなくて…そして未熟で弱くて本当によかった」


「どういう、こと」



私のとぎれとぎれの問いに、彼は答えた。



「貴女を、国家反逆罪の罪で、処刑します」
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