今日から魔王はじめます!
何が天下だ、織田信長じゃあるまいし。


バカバカしい、と鼻を鳴らそうとした時、はたと我に返る。



「あの、ランスロットさん」


「ランスで構いません、我が女王」


「いや、マナミでいいですから。女王とか鳥肌立ちますから。


…で、ランスさん。この世界には勇者がいるの?」



私の問いかけに、ランスは少し目を見張ったのち、重々しく頷いた。


成程、魔王の天敵、勇者がこの世界にいる訳か。


…ならば、



勇者様早く来てぇぇぇ!!そんでもってとっとと魔族なんざ滅ぼしてしまぇぇぇ!!



「魔族の国、影夜国が我らの国。


そして、聖ミスリル統一王国が人間達の国でございます。


先代様を倒した勇者は、今の統一王政府のトップです」


「人間達の国の、王様が…勇者」



なんとベタな展開!素晴らしい!!


これで勇者様が私を助けに(正確には倒しに)来てくれることは確定したも同然ではなかろうか。


その戦争のどさくさに紛れて逃げ出すか、自分が人間である旨を説明し、


命乞いをして助けてもらうというのはどうだろうか。



ああ、なんて完璧な作戦だろう。


私って天才。
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