今日から魔王はじめます!
疾竜のドラゴンブレスが、“妖の王”の吹雪を防いでいるのだ。
でも……もう保たない!
私より先にそう判断したのはレンだった。
さっきの攻撃のせいで氷のように冷えた手で私を引き寄せると、
聖剣を地面に突き立て、その陰に隠れる。
直後、ドラゴンブレスを吹雪が破った。
勢いを増した氷雪が、ブレスを吐いていた何体かの疾竜の体を氷漬けにする。
悲鳴を上げる間もなかった。
刹那の家の私たちに到達した吹雪は、聖剣の結界で阻まれる。
白銀の壁が、軋む。
「いいか愛美、今から魔封じを解く」
「え?で、でも、それじゃ私はレンと一緒に戦うのが難しくなって、」
「大丈夫。聖力も魔力も全開にできる」
「え?それって、」
「あとから怒るなよ!!」