今日から魔王はじめます!
「“呪い”……? 嘘、だってみんな、さっきより明らかに強くなってるよ……!」
「その代わり……自我を失いかけてる」
「レンっ」
竜の背中に乗ったレンが、青白い顔で言う。
無理しないでいいのに……!
「あれがきっと、魔剣の呪いだ。力を与える代わりに、自我を奪う。
正しい使い方をしない者は、きっと魔剣自身が主人と認めないんだ……」
「でも……強くなったのは、確かだよ」
私は自分が持つ聖剣アポロンを見た。
断続的に白銀の光を発し続ける聖剣は、きっと魔剣と共鳴しているのだ。
ごめんなさい、聖剣アポロン。
あなたを振るうのは、レンのはずなのに。
本来触れてはいけないはずの、魔王の私があなたを握ってる。