今日から魔王はじめます!

「迂闊に近づくのは危険だな。……愛美、体勢を整える。


一回聖剣で結界を張れ。念じればできるから」


「でも、」


「大丈夫。聖剣はお前を拒んでない。


所持者である俺の“従属”である、お前を認めてるんだ」



拒んでない、認めてる……か。


でも、私は本来、これを手にしちゃいけない側の人間だよね。


そんな思考を押し込めて、ぐっと聖剣の柄を握った。


目の前に白銀の光を放ちながら、丸い結界が築かれていく。



「来るぞッ」



レンの叫び声とともに、下では黒い光が集まって、


何本もの漆黒の槍が宙に浮かんだ。



ズガガガッ!!



空気を斬り裂いて、私達に向かって放たれた槍が結界に刺さっていく。


最後の一本が飛来。


それと同時に、澄み切った音を立てて、張ったばかりの結界が砕け散った。
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