今日から魔王はじめます!
『ぐっ』
「不死鳥!」
最後の一本は、結界を壊したばかりでなく、勢いを弱めずに不死鳥の羽を貫いた。
血の代わりに赤い炎が噴き出して、不死鳥の体がぐらりと揺れた。
そしてそのまま、地面に向かって私を乗せたまま墜ちていく。
思わずぎゅっと目を閉じると、
レンの「“浮雲”!」と言う声が届いた。
私と不死鳥は、ふわりと地上に下ろされる。
どうしよう。またレンに聖力を使わせてしまった。
「レン…っ、不死鳥っ」
横たわる不死鳥に駆け寄る。
不死鳥は黄金の目を開けると、『問題ありません』と言った。
『ただ…しばらくは飛べなさそうですね』
「ごめんなさい…」
『謝る暇があるのなら、前を向きなさい。
油断をしている余裕が貴女にありますか?』
「っ、」
『来ますよ。構えなさい』