今日から魔王はじめます!
光の中で、レンが瑠璃色の目を瞬かせた。
そして受けとった聖剣を見下ろして……「あいつを止めろ」と言った。お前が、と。
「止め、って」
「もう、先代魔王の自我はない。
このままだと魔剣は亡霊ごと、“智の王”を喰い殺すぞ」
「!」
「止めっていうのは少し違うかな。
ただ、魔剣ディアボロスを止められるのはお前しかいない……これは間違いないんだ」
でも、私……できるかな。もう、聖剣は手元にない。
徒手空拳の状態なのに。
しかしレンはゆるぎない声で言った。
「できる」、と。
「っ何を根拠に」
「……そういえばお前、まだ俺の使い魔だったよなー」
「あ」
急激に頬が熱くなる。
唇に触れた感触を思い出して、私はますます赤くなる。
レンは黙り込んだ私を見て、ゆっくり甘く、微笑んだ。
「命令だ。行って来い」