今日から魔王はじめます!
「は……は、はいぃ……」
かか、かっこよすぎです国王陛下……っ!
ばきゅーん、と心臓を打ち抜かれたみたいにうっとりする私。
もうばか、何考えてるの私ったら、相手はきっと麗しい奥様に綺麗な愛妾がたくさんいるはずなのに……っ。
するとレンが不機嫌な顔で私の腕を引っ張った。
そしてこれまた不機嫌な声で言う。
「父上。誰に色目を使ってるのかおわかりですか。こいつは魔王になる女ですよ」
「色目?ほう、それは心外だな。
この私がいったい誰に色目を使ったというんだね我が息子よ」
「母上に言いつけてきます」
「ほほーう?」
バチバチバチッと、二人の間で飛ぶ火花。
“妖の王”の吹雪よりも寒く冷たい風が、私の周りで吹き荒れている……!