今日から魔王はじめます!
どういうことだろう、と思っていると、店主さんが口を開いた。



「…この方が新王陛下ですかい?」


「左様だ」


「…こりゃまた、ずいぶんと可愛らしい魔王陛下ですな」



あ…表情が柔らかくなった。


原因はわからないが、どうやら警戒を解いてもらえたらしい。



まぁ、警戒は当然のことだろう。


どこの馬の骨かもわからない小娘が、いきなり自分の国の王になるなんて、誰でも訝しく思うに決まっている。


…まぁ、私は今のところ、魔王になる気はないけれど。



「それで、地図でしたかな、閣下」


「ああ、できるだけ見やすいものを」


「最近ですと…これが一番ですな」



そう言うと、店主さんは1枚の、縦長の世界地図らしきものをカウンターの奥から取り出した。
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