今日から魔王はじめます!
「…そう、ですか…」



地球でも戦争はあった。


自分と違う民族は争い、諍い、弱い者は迫害され、差別される。



ここも同じだ。



人間が魔族を憎むなら、魔族も人間を憎む。


どちらも『加害者』になりたくないんだ。『正当防衛する被害者』になりたいんだ。



十二代目は、人間を蹂躙する世を作りながらも…人間が悪だと広めたのか。



「…陛下。そろそろお暇しましょう。


店主、この地図を買おう。いくらだ」


「毎度。それの値段は…えーとですね」



私が唇を噛み締めたのを見たのか、ランスさんが店主さんと値段の交渉を始めた。


ランスさんも…あの兵士さんが言うには、前魔王に『休戦』を提案した唯一の幹部だったらしい。


どうして自分で結んだ休戦協定を破ったりしたんだろう。



考えながら私が顔を上げると、魔族の男の子がべしゃっと目の前で転んだ。
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