今日から魔王はじめます!
「ちょ…ちょっと君!大丈夫!?」



あわてて男の子に駆け寄り、抱き起こす。


ああ、膝から血が出てるよ、可哀想に。


そしてふと、魔族でも血は赤いんだな、なんてくだらないことを思った。



「うん、大丈夫…ありがとう、おねえちゃん」


「良かった。気をつけてね」


「わかった……、


って、え…!?黒い、髪…!」



私が微笑んで、男の子が笑顔で頷いたと、そう思った。


しかし、向けられたのは恐怖に歪められた顔。


怯えた目を見て、震え始めた肩を見て、困惑する。


どうなってるの…?



「ごめんなさいっっ!!」


「えっ?」


「魔王様、ごめんなさいごめんなさい、きたないものを見せてごめんなさい。


あやまりますから、許してください。首をはねないでください」



な…首を、刎ねる…!?


男の子が、蒼白な顔のまま、乱暴に自分の膝の血を拭う。


そんなやり方じゃ、傷口にバイ菌が入っちゃう。


それに…そんなこと、するわけない!


中世ヨーロッパの処刑じゃないんだよ?
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