今日から魔王はじめます!
ゴゴゴゴ…と音をたてて、豪華絢爛な門が開いていく。


ランスさんはそれを見ると、かつかつと足音高く城内に入っていった。



「ま、待ってくださいランスさん!」



こんな広いお城で置いていかれたら、確実に迷子になってしまう。


それだけは絶対避けたい。


仮にも“魔王陛下”が、自分の城で迷子とか情けなさすぎる。




「さぁ陛下、王座の間へ案内致します」



城そのものに恐る恐る足を踏み入れると、ランスさんがこちらを振り向いてそう言った。


私はもう、城の立派さに気後れどころではない。


完全に怯えているレベルだと自覚している。



「王座の間…?」


「陛下の書斎のようなものです。寝室は別にありますので。


そこに行くまでに、軽く我が国の歴史をお話いたしましょう。


王座の間には、既に領の王たちが集まっております故」
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