今日から魔王はじめます!
いったい何が隣に描かれていたのだろう。


破らなくてはならない、何かの理由があったのだろうか。



「初代魔王陛下は、歴代魔王の中でも、1番温厚な方だったと言い伝えられています」



ランスさんが肖像画を見上げたまま言った。



「しかし、アシュタロトに生存している魔族と人間を2つに分断したのもまた、


初代魔王陛下なのです」


「この人が…」



ランスさんと同じように肖像画を見つめ、初代魔王の目をじっと見てみても、


やはり何もわかりはしなかった。


同じ日本人のような容貌をしていても…やっぱり、わからないものはわからない。


ただ…この人が人間を蹂躙し、魔族天下の社会を作るために2つの国を作ったなんて、


とても信じられなかった。



私もこのまま魔王として、この世界で生きていれば、彼の気持ちも理解できるのだろうか。
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