今日から魔王はじめます!
「いつお怪我をなさったのですか?」


「ええと…その、多分、あの兵士さんを手当した時にだと思います」


「あの人間の…なるほど。


それは、魔除けで負った火傷でございますか」


「!


わかるんですか!?」



目を丸くする私に、はい、とランスさんは頷く。


そして私の手を取ると、例の如く、あっという間に治癒してしまった。


まだ信じられない気持ちで、綺麗に治った自分の手を見て放心している私に、


ランスさんは微笑む。



「戦場に出ている人間は、たまに白い星の魔除けをしていることがあります。


魔除けには、人間の貴族や王族、賢者、僧侶などが持てる『聖力(セイリキ)』と呼ばれる力が込められていて、


我々魔族の持つ力…魔力に反発し、時には浄化されてしまいます」



賢者!僧侶!!


これぞ正に前世紀の遺物(失礼)、正に王道ゲームのパーティーの役職!


そんな思考を内で燻らせつつも、私は尋ねる。



「その聖力…というのと、私の持つ魔力?が反発したから、火花が散って私が火傷をしたってことなんですか?」

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