今日から魔王はじめます!
「…っわ…」



部屋の中の様子に、私は思わず声を漏らした。


壁には黄金の彫刻、天井画は精巧な悪魔の絵。


吊り下げられたシャンデリアは、蝋燭を取り付ける形の、ゴシック的なデザインだ。


私の前に敷かれた黒いカーペットは、まるでおエライさんのの通る花道のよう。



そしてだだっ広い部屋のど真ん中に鎮座し、圧倒的な存在感を放つ、漆黒の王座。



「陛下、ようこそ我らが魔族の国、


影夜国へ」



部屋にいた、ランスさんを含めた4人が声を揃えた。


皆、それぞれ膝をついたり、心臓に手を当てたりと、忠誠を誓うような体勢だ。



……どうしよう。


緊張の余り全身の穴という穴から何かの汁が出てきそうだ。
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