今日から魔王はじめます!
「そして…吾輩が“妖の王”グラディスだ」



今度は、耳の尖ったおじいさんが深々の頭を下げた。


戸惑いつつも、私は王座に座りながら、4人の臣下(仮)を見回す。



“智の王”。


“獣の王”。


“死の王”。


“妖の王”。



彼らが、巨大な魔族の王国__影夜国を支える有力な貴族であり、


大きな領を治める“王”たちなのだ。


そして、私は。



この影夜国全体を治める…魔王。



「これで四天王は全て揃いました、陛下。


戴冠式まで、まだ時間はございます。


それまでに、それぞれのお顔を覚えていただけるように、お願い致します」


「は…はい」



ランスさんの声に、安堵する自分がいることに気がついて、私はハッとした。


いつの間にか、受け入れていた。


この世界で生きることを。


そして、最初は恐れていたはずのランスさんに、私はすっかり気を許している。



それがいいことなのか、悪いことなのか。



私では、判断できない。
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