今日から魔王はじめます!
「それにしても、なんと素晴らしい漆黒…。


黒壇の髪に瞳…自然の黒が、これほどまでに美しいとは」



低い声で、感極まったように言ったのは、フーデッドケープに似た黒いローブを纏う“死の王”、


ブラッドリーさん。


待ってやめて近寄らないで、近寄るならせめて鎌をしまって。


あなたに首ごと生命を刈り取られそうな気がします!



「ああ、吾輩も同意だ。いたいけな少女のはずなのに、なんて純粋な高魔力…感服する」


「そ、そんなことないです…」


「いいや、あるのだ陛下」


今度は“妖の王”グラディスさんが言う。


「これならば、人間どもを支配しアシュタロトを統一することも、夢物語ではなくなりましょうぞ」



………っ!



その言葉に、一気に顔から血の気が引いていくのがわかった。


急いでランスさんに目を向けるが、彼は悲しげに目を伏せただけで、何も言わなかった。



「その通りですな、“妖の王”。現勇者も、我が獣王領のスレイブヤードに囚われている」


「魔族が世界の頂点になるのも、すぐですねぇ…」



楽しげに笑う四天王のうち3人に、戦慄した。


3人とも、目立って悪い人はいないようなのに、こんなふうに人間を貶めて、笑っている。


支配することを当然なように言っている。



そうか、これが…異種族の戦争なのか。



なんて怖い。


私はなんて国の…王になることになってしまったのだろう。
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