今日から魔王はじめます!
キキキキキキィィ!!!
凄まじいブレーキ音とともに、視界が反転した。
大きな衝撃が体に走り、ごぼりと口から何かがこぼれ、息が詰まる。
あ、やばい。これは、やばいやつだ。
ああもしかして、私はここで死ぬのかもしれない。
もうちょっと長生きしたかったんだけどな。
まあいいか。
好きな人もいないし、特にこの世に未練もない。
薄れゆく意識の中で、私は妙に冴えたことを考えていた。
救急車の音がどこかで聞こえる。
だけど、きっと私は…もう助からない。
そして目の前は真っ暗になった。
その時は知りもしなかったのだ。
私が……異世界で、魔族の女王になるなんて。